みなさんこんにちは、tomotabitripです。
函館駅〜旭川駅までを結ぶ支線を含めた総営業キロ458.4kmを有しJR北海道を代表する路線である函館本線。
今回はJR北海道一大幹線の函館本線でも1日1本しか走らない「藤城支線」、「砂原支線」を直通する列車の乗車記をお届けします。
藤城支線・砂原支線とは
函館駅〜森駅間の函館本線は8の字のように本線(仁山・大沼公園経由)と藤城支線、砂原支線(鹿部経由)があります。
この不思議な路線ができた背景には線路の勾配が関係しています。
七飯駅〜大沼駅間の本線には仁山越えと呼ばれる20‰の勾配があり、それを緩和するために9.5‰の勾配にした藤城支線ができました。また大沼駅〜森駅間でも駒ヶ岳越えと呼ばれる20‰の勾配があり、それを緩和するために大回りだけれど6‰の勾配にした砂原支線が作られました。
この急勾配の影響で貨物列車や特急列車も支線を走ることがありましたが、エンジン性能の改善や北海道新幹線の開業もあり現在では以下のように運行しています。
【特急列車】
上り・下りともに本線経由(仁山・大沼公園経由)
【貨物列車】
下り(札幌方面):藤城支線・大沼公園経由
上り(函館方面):砂原支線・仁山経由
藤城支線・砂原支線を走る列車の時刻
藤城支線を走る列車
藤城支線を走る列車は以下の通り。
森行き | 長万部行き | 長万部行き | |
---|---|---|---|
函館 | 5:49発 | 12:35発 | 17:35発 |
七飯 | 6:09発 | 12:56発 | 17:55発 |
大沼 | 6:24着 | 13:11着 | 18:10着 |
七飯駅〜大沼駅間の藤城支線には途中駅がなく、支線経由の列車は1日3本かつ下り列車のみと非常に本数が少ないです。
砂原支線を走る列車
砂原支線を走る列車は下記の通り。
下り | 森行き | 長万部行き | 森行き | 森行き | 森行き |
---|---|---|---|---|---|
大沼 | 6:40発 | 15:08発 | 17:52発 | 19:38発 | 21:08発 |
渡島砂原 | 7:24発 | 15:50発 | 18:38発 | 20:32発 | 22:10発 |
森 | 7:43着 | 16:27着 | 18:56着 | 21:16着 | 22:30着 |
上り | 函館行き | 函館行き | 函館行き | 函館行き | 函館行き | 函館行き | 函館行き |
---|---|---|---|---|---|---|---|
森 | 5:32発 | 6:06発 | 7:58発 | 14:53発 | 16:03発 | 17:45発 | 20:51発 |
渡島砂原 | 5:50発 | 6:24発 | 8:18発 | 15:13発 | 16:23発 | 18:02発 | 21:10発 |
大沼 | 6:29着 | 7:04着 | 8:58着 | 15:55着 | 17:04着 | 18:42着 | 21:59着 |
砂原支線を走る列車は上下ともに設定されています。下り列車(札幌方面)では6:40発の後は約8時間後の15:08発とだいぶ間隔があきます。
一方で上り列車(函館方面)の場合は通勤・通学用としてか5〜7時台に各1本ずつ設定されています。しかし下り列車の場合も7:58発の次は約7時間後の14:53発とだいぶ間隔があく設定ですので乗車する際には時刻の確認が必要です。
藤城・砂原支線を直通する普通列車の乗車記
早朝の函館駅から出発
やってきたのはまだ日も出ていない早朝の函館駅。今回の旅はここから始まります。
函館駅は頭端式ホームと呼ばれる行き止まりの構造で、ここが旅の始まりであり終わりという雰囲気を感じます。
ここには函館本線の函館駅〜旭川駅までの総延長458.4kmの起点となる「函館本線の0キロポスト」が設置されています。隣に書かれている「0k219m」というのは、かつて青函連絡船があった時代に函館本線の起点はここよりさらに219m離れた青函連絡船乗り場であったことを示しています。
今回乗車するのは函館駅5:49発 普通列車森行きです。3番線ホームにはキハ40形3両編成が停車していました。函館地区でキハ40形3両編成は他にあったでしょうか。
ただしこの列車で注意しなければならないのは3両中終点の森駅まで行くのは前よりの1両のみ、後ろ2両は途中の大沼駅止まりとなります。
この始発列車が送り込み回送列車の役割も担っているわけです。
車内放送では「この列車は新函館北斗へはまいりません」、「後ろ2両は途中の大沼止まりです」と何度も注意喚起の放送がされていました。
普通列車でも経由する線路が違うなんて気をつけて見ていないと見落としてしまいそうですよね。
向かい側には函館駅〜新函館北斗駅間を結ぶはこだてライナーが停車中。函館駅まで来れなかった北海道新幹線へのアクセスはこの列車が担います。
さらに奥のホームには13分後に出発する札幌行きの特急「北斗1号」が停車中でした。
電化された函館本線区間を走る
5:49、列車は定刻通り函館駅を出発。函館本線の2つの支線を直通する唯一の普通列車の旅が始まります。
函館駅を出てすぐ、進行方向左側にある函館運輸所には国鉄型のキハ40形が数多く所属しここだけ一昔前の雰囲気が残ります。
最初の停車駅五稜郭駅、ここから第三セクターの道南いさりび鉄道が分岐します。
五稜郭駅を出発すると進行方向右側には五稜郭機関庫があり、ここには青函トンネルを越えるためのEH800形電気機関車がたくさん停まっていました。
6:06、藤城支線の分岐駅となる七飯駅に到着。駅名標も新函館北斗と大沼の2駅が書かれています。
七飯駅までは北海道新幹線開業と同時に電化された区間を走ってきましたが、ここから先は非電化かつ旅客列車が1日3本しか走らない藤城支線を走行します。
1日3本しか走らない藤城支線
6:09、七飯駅を出発。
七飯駅を出た列車は勾配を上り高架線へ、右側の電化された新函館北斗駅経由の本線をオーバークロスして山側へとカーブします。
高架区間の進行方向左側の車窓には、スルーした新函館北斗駅や北海道新幹線の車両基地を見ることができます。
その後も標高の高いところを走るので特急「北斗」では見られない新函館北斗駅周辺の景色が楽しめます。
山を切り開いたところに敷かれた線路を走り、最後に1,250mの新峠下トンネルを抜けると進行方向右側より特急「北斗」も走る仁山経由の本線と合流。本線と合流後は進行方向左側に藤城支線、右側に本線の並びで並走します。
新峠下トンネルを抜けるとすぐに進行方向左側には湖面が氷に覆われた小沼と山頂付近に雪をかぶった駒ヶ岳が見えました。
この小沼と駒ヶ岳が見えるとまもなく大沼駅に到着です。
8の字の交点、大沼駅に到着
6:24、大沼駅に到着。函館本線の8の字部分の交点になる駅で4方向に分岐する珍しい駅です。この大沼駅では14分間の停車時間があり車両の切り離し、後続の特急「北斗1号」に追い抜かされます。
到着してしばらくすると先ほど函館駅に停まっていた特急「北斗1号」が通過。
支線経由で1時間54分かかる函館駅〜森駅間を本線経由の特急列車だと45分程度で走り抜けてしまうので特急列車の圧倒的な速さを感じてしまいます。
反対側のホームには森駅始発の函館行き普通列車と行き違いました。
さて、乗ってきた列車は大沼駅で森行きの前1両と大沼止まりの後ろ2両に切り離されます。特急「北斗」を見送っていたらすでに切り離し作業は終わっていました。
大沼駅から先はキハ40形1両での運行になります。静かな駅構内にエンジンのアイドリング音が響き渡っていました。
駒ヶ岳を大回りで迂回する砂原支線
6:40、定刻通り大沼駅を出発。出発後はポイントを渡り一番東側の線路へ転線。進行方向左手に駒ヶ岳経由の本線が分岐します。
大沼駅を出るとしばらくは大沼湖畔の森の中を走ります。
2022年までは次の鹿部駅までの間に池田園駅、流山温泉駅、銚子口駅の3駅がありましたが、利用者減少に伴い維持困難ということで3駅連続で廃止。そのうち銚子口駅のみが格下げされ銚子口信号場として残りました。
今回の普通列車もこの銚子口信号場にて森駅発函館行きの普通列車と行き違いを行いました。
7:05、大沼駅の隣、鹿部駅に到着。
駅から町の中心までは数キロあり、バスなどでのアクセスが必要な場所に駅があるので普段利用するには少し不便な感じがします。
鹿部駅を出るとまたしばらくは森の中を走りますが、次第に木々が減ってくると進行方向左側に駒ヶ岳が見えてきました。
7:16、渡島沼尻駅に到着。駅は2面2線を有する交換可能駅で長大な編成にも対応した広い駅構内ですが、普段の旅客列車は1〜2両での運行なので1両分のホームが設置されているだけでした。
7:24、「砂原周り」の由来にもなった渡島砂原駅に到着。駅舎の作りが古めかしいと思って調べてみると1945年開業当時のままとのこと。この渡島砂原駅も2面2線を有する交換可能駅。
渡島砂原駅を過ぎると進行方向右側には噴火湾が木々の合間から見えるようになります。
7:31、掛澗駅に停車。ここではDF200率いる上りの貨物列車とすれ違いがありました。普通列車は1〜2両なのに対し貨物列車は堂々の20両編成。乗っている普通列車が止まると同時にゆっくりと走り去って行きました。
特急「北斗」をはじめ多くの旅客列車は勾配の急でも距離が短い駒ヶ岳経由になりましたが、重量の重い貨物列車では勾配が重要視されているので上り(函館方面)列車では砂原支線経由となっています。
7:35、尾白内駅に到着。駅舎はJR北海道でよく見られる貨車を改造したものですが、比較的綺麗に塗装され雨避けもついているなど、だいぶ改造されたものでした。
ここまでくるとかなり駅と町が近づいていたので駅までのアクセスはだいぶ良くなっていそうでした。
7:38、最後の途中停車駅である東森駅に到着。赤い屋根の三角形の形が特徴的な駅舎でした。
ホームと駅舎の間の謎にあいた距離は昔ここに側線があった名残なのだそう。
東森駅を出発すると進行方向左側より急勾配を越えてきた駒ヶ岳経由の本線と合流。終点の森駅はもう間もなくです。
終点 森駅に到着
7:43、定刻通り終点の森駅1番線に到着。乗ってきた列車は回送列車となり一度長万部方へ引き上げた後、海岸側にある留置線へと入って行きました。
反対側のホームには渡島砂原経由函館行きの普通列車が停車中でした。この列車は森駅を後続の特急「北斗2号」よりも約50分先に出発しますが途中の仁山駅で追い抜かされ函館駅到着は特急の20分後という・・・。函館にいち早く戻りたい場合は特急の利用がおすすめです。
ホームから函館方を見ると長編成が停車可能なホームと駅に併設された留置線、遠くに駒ヶ岳を見ることができました。
跨線橋に登ると噴火湾の景色もあわせて見ることができるのでおすすめです!
特急列車を含めた全ての旅客列車が停車する森駅ですが次の札幌方面の列車は約40分後の特急「北斗3号」。普通列車では2時間半後になり普通列車の本数が少ない区間に入ります。
森駅といえば「いかめし」が有名で、駅前の柴田商店で販売していますが営業時間が9:00〜18:00とのことで今回は買えませんでした。また次の機会になりました。
最後に
今回は1日1本だけ運行される函館本線の2つの支線を直通する普通列車の乗車記をお届けしました。
この列車以外で藤城支線・砂原支線を乗り通すことを考えると函館駅〜森駅間を普通列車で往復するしかありません。
函館駅の出発が5:49と早く、とても乗りにくい列車ですが北海道新幹線札幌延伸時には廃止が噂されている区間ですので乗りに行ってみてはいかがでしょうか。特急「北斗」が走る仁山・大沼公園経由の本線の景色と見比べるのも良さそうですね!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。