みなさんこんにちは、tomotabitripです。
年末年始にのみ運行される臨時特急「水上」。今回は上野駅から水上駅までの約2時間、上越線の絶景や冬の風情を満喫できるこの列車に乗車してきましたのでその様子をお届けします。
特急「水上」とは?
上野駅〜水上駅間の160.5kmを高崎線・上越線経由で走る臨時列車です。
1957年に水上温泉郷への観光輸送を目的に運行を開始しました。その後、冬季には上越スキー場へのアクセス列車としても活躍し、かつては上越国境を越えて越後湯沢・石打駅まで運行されていたこともありました。
しかし、利用者の減少などにより、現在では年末年始の5日間(下り3日間、上り2日間)のみ運行される臨時列車となっています。
特急「水上」の使用車両
2023年の年始までは651系1000番台が使用されていましたが、同年の年末から653系1000番台へと車両が変更されました。
これにより、かつて常磐線の「スーパーひたち」で使用されていた車両から、「フレッシュひたち」で使用されていた車両への世代交代が、常磐線を離れた形で行われたことになります。
特急「水上」の停車駅・時刻表
特急「水上」の停車駅と時刻は以下の通り。
下りは12月29〜31日運行、上りは1月2〜3日運行
下り | 上り | |
---|---|---|
上野 | 12:21 発 | 13:03 着 |
赤羽 | 12:30 着 12:30 発 | 12:53 着 12:53 発 |
浦和 | 12:39 着 12:39 発 | 12:43 着 12:44 発 |
大宮 | 12:47 着 12:48 発 | 12:36 着 12:37 発 |
熊谷 | 13:19 着 13:20 発 | 12:03 着 12:04 発 |
高崎 | 13:52 着 13:53 発 | 11:28 着 11:29 発 |
新前橋 | 14:01 着 14:02 発 | 11:19 着 11:20 発 |
渋川 | 14:14 着 14:15 発 | 11:05 着 11:06 発 |
沼田 | 14:37 着 14:37 発 | 10:46 着 10:46 発 |
水上 | 14:52 着 | 10:32 発 |
特急「水上」グリーン車 乗車記
上野駅地上ホームから出発
今回の旅は上野駅地上ホームから始まります。
11:35、上野駅に到着。特徴的な巨大行き先表示板には、すでに特急「水上」の表示が出ていました。ほとんど同じ区間を走る特急「草津・四万」が11分前に先行して出発するようです。
15番線に移動し、列車の入線を待ちます。
12:06、15番線に列車入線の放送が流れると今回乗車するE653系がやって来ました。
E653系は現在2編成新潟より戻ってきており、国鉄色と水色にそれぞれ塗装されていますが、今回使用されるのは水色編成でした。
わずかな時間ですが、先行する特急「草津・四万」と上野駅で並びました。
E653系が上野駅の地上ホームに停車しているとかつての、「フレッシュひたち」時代を感じさせてくれますね。
特急「水上」のグリーン車内
特急「水上」は全車指定席の7両編成で、1号車がグリーン車に設定されています。この車両は「フレッシュひたち」から「いなほ」へ転用される際に改造されました。
豪華な仕様が特徴で、以下のような設備が整っています。
- 座席配置:1+2の3列配置
- 定員とシートピッチ:定員18名、1,820mmと広々
- プライバシー配慮:座席間に仕切りがあり、リクライニングしても隣や後部座席に干渉しない設計
- テーブル:肘掛けに収納されており、広げると座席間を十分にカバー
- ミニラウンジ:車端部にはラウンジが設置
テーブルは肘掛けの中に収納されており、展開すると肘掛けの間に渡せるように広く展開することができました。
グリーン車の車端部にはラウンジスペースも設置。窓に向いている席と通路を挟んで反対側は対面式の2種類のラウンジがありました。
上野駅地上ホームから出発
12:21、時刻通り特急「水上」は上野駅15番線を出発。ホーム上には列車を見送る多くの方がいました。
地上へ出るとかつての同僚、常磐線快速電車と並走。
上野駅〜西日暮里駅間には山手線、京浜東北線、東北本線、常磐線で計10本の線路が並ぶ区間。車窓の両側には並走やすれ違います。
12:30、最初の停車駅の赤羽駅に停車。
荒川を渡り埼玉県へ
赤羽駅を出発して間も無く、列車は荒川を渡り埼玉県に入ります。
埼玉県に入り最初の停車駅 浦和駅に停車。
浦和駅を順調に出発したかと思うと、さいたま新都心駅手前から徐々に速度を落としゆっくりと駅を通過。調べてみると先行する列車が詰まっていたようでした。
上野駅を出発して26分、速度を落としたまま大宮駅に到着。速度を落としても定刻通りだったのでダイヤとしては余裕があったのでしょう。
大宮駅からは割と多くの乗車する方がいました。
高崎線を北上 9駅連続通過
大宮駅を出発すると上尾・桶川といった特急停車駅を通過しながら、約100km/hで高崎線をどんどん北上していきます。
鴻巣駅を過ぎたあたりから沿線の景色にも変化が。ここまで住宅街が続いていましたが、ところどころに畑や田園風景が目立つようになり、郊外の雰囲気が感じられます。
ここまで順調に飛ばしてきた列車も徐々に速度を落とし始めゆっくりと走るように。大宮駅を11分前に出発した高崎線の普通列車に追いついてしまったようで、追い越さないように速度を調節したためでした。やはり大宮〜熊谷間ノンストップだと11分差であっても追いついてしまう特急の速さを感じます。
右側より来る秩父鉄道線の下をくぐり上越新幹線の線路が近づいてくると間も無く熊谷駅に到着です。
北関東の拠点 高崎駅
熊谷駅を出発ししばらくすると徐々に上下線の線路が分かれ、さらに下り線は高架になります。上下線の間に現れたのがJR貨物も熊谷貨物ターミナル駅。物流が減る年末年始ということもあり、広大な貨物ターミナルにはコンテナ車がポツンと3両だけ停車。
下り線はこの先さらに奥の貨物駅との入れ替えに平面交差で支障が出ないよう高架で貨物線を越えていきます。
籠原駅を通過。新宿、渋谷など都心でもこの「籠原駅」の駅名は良く聞くのではないでしょうか。「水上」よりも先に大宮駅を出発した普通列車もこの籠原駅止まりでした。
籠原駅より北側の駅ではホーム設備の関係で10両までしか入線することができず、この籠原駅にて増結・解結作業が行われます。
東京駅のような駅舎が有名な深谷駅を通過。実際、東京駅にはここ深谷産のレンガが使われていることがきっかけで東京駅を模して作っているそう。本物のレンガではなくタイルを使用しています。
いよいよ神流側を渡ると埼玉県から群馬県へと入ります。遠くにはこれまで見えなかった山々がうっすら見えるようになってきました。
13:52、上野駅を出発して1時間31分。北関東の鉄道の拠点 高崎駅に到着しました。
伊香保温泉の玄関口 渋川駅
高崎駅からは信越線が分岐していきます。信越線はかつて急な碓氷峠を越え長野・新潟を結ぶ重要な路線。平面交差でお互いの線路を支障しないよう立体交差にしたのでしょう。
高崎から9分で次の新前橋駅に到着。特急「水上」、「草津」の2種類の特急が連結していた時は当駅で増結・解結作業が行われていました。
群馬総社駅を過ぎると上越線は徐々に高台へ。進行方向右側には赤城山、左側には榛名山が見られるはずでしたが、今回は残念なことに雲で赤城山の姿を見ることができませんでした。
14:14、上野駅を出発して1時間53分で伊香保温泉の玄関口 渋川駅に到着。
特急「水上」の乗客でもこの渋川駅まで利用する方が多いようで、ホームを見てみるとかなり多くの方が降りていきました。
山間部を走る上越線
渋川駅を出発してすぐに立派な鉄橋を渡ります。上り線(高崎方面)の方が古く1924年(大正13年)、下り線(水上方面)は複線化に伴い建設され1964年(昭和39年)に作られました。
14:37、最後の途中停車駅 沼田駅に到着。
渋川駅周辺では晴れていた空も徐々に天候が悪くなり、後閑駅を過ぎるとついに雪が降り始めました。
上牧駅を通過するときには線路も線路脇もホーム上にもかなりの雪が積もっている様に。
雪で閉鎖された水上駅に到着
最後のトンネルを抜け水上駅構内にゆっくり入線。留置線も含め一面真っ白な銀世界になっていました。
14:52、上野駅を出発して2時間31分。160kmを走り切り特急「水上」の終点 水上駅に到着。水上駅まで来るとかなり雪が積もっている状態で上越線はこの先、越後湯沢駅まで運転見合わせとの放送もされていました。
乗ってきた列車は降車確認後、信号が青になるのを待って、来た道を高崎方面に回送列車として走り去っていきました。
最後に
今回は年末年始のわずか5日間のみ運転される臨時列車 特急「水上」のグリーン車乗車記をお届けしました。
特急「いなほ」用として改造されたE653系1000番台のグリーン車はシートピッチが広く、席を倒しても後ろの人を気にすることがないのが特徴でもっと長時間乗っていたい座席でした。
特急「水上」はでは徐々に雪景色へと変わる上越地域の雰囲気を特急列車に乗って味わうことができる列車です。
水上温泉への観光にも合わせて利用してみてはいかがでしょう。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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